小鳥のさえずりと共に目が覚めた。

なぜか目覚めは少し最悪だった。

まるで何かを暗示しているような・・・・そんな気がした。

朝起きてすぐ腹がへる。人間の日常とはそう言うものだ。

僕は食堂にむかった。

隣のソファーで寝ていた水善さんはそこにいなかった。きっと朝食を作りに行ったんだろう。

悪い胸騒ぎがした。

食堂についた。そして・・・・

「おはようございます。水善さん」

「・・・・・・・・」

「っ? どうしたんですか?」

「・・・・・・・・」

「水善さっ」

そこには、''死体''が転がっていた。

日常が今終わりを告げた。

「あ・・・・ああああ・・・・」

水善さんの顔が真っ青だった。

「ふぁ~。寝むて~。」

笹原くんが食堂へとやって来た。

「っ‼ な・・・・なんだよ。何でこんなことになってんだよ。」

「落ち着いて聞いてください。僕たちが食堂に来たときにはもう・・・・・」

「嘘つくなよ!お前らのどちらかが殺ったんだろ?」

「ち・・・ちがうです。本当に僕たちが来たときにはもう。」

「オレは信じねぇぞ! お前らのような殺人鬼の言うことなんかな‼」

「・・・・ッ・・・・」

「なんだよ真子! なんか文句でもあんのか?」

「あなたが殺したんじゃないの?私たちは一緒に行動してたけどあなたは別行動してたからアリバイないでしょ。」

「は、はぁ~? お前らがグルだって可能性もあるだろうが!」

「もう、止めませんか?誰かを責めるのは。」

「お前らを信じろってのか? 無理だね!こうして誰かが殺されてんだ!こんな状況だこの中にしか犯人はいないだろうか!それでも信じろってのか?」

「勝くん。今回は私もその意見には賛成できない。だって屋敷の扉が開かない以上犯人はこの中にしかいない。そうでしょ?」

「笹原くん・・・・・水善さん・・・・」

人の仲は1日で壊すことができる。うまくいけばもっと短い時間で壊すことができる。今まさに完全に赤松くんを含めた3人の仲は完全に崩壊してしまった。

ある研究をした学者はこう言っていた。

ケースに蟻と砂を入れる。蟻は必ず巣を作る。ケースの中の蟻を観察すると、せっせと餌を探す’’働き蟻’’と呼ばれる蟻がいる。しばらくケースを観察すると何かをするわけでもない蟻がいる。かりに’’怠け蟻’’と名付けよう。その怠け蟻を完全に取り除いて100%働き蟻だけにする。すると次第に働き蟻だった蟻が怠け蟻になっている。

それはなんど繰り返し怠け蟻を取り除こうと怠け蟻は必ず生まれる。

今こんな状況の中、死体まで見つかってしまった。

少なからず心のどこかに小さな闇が生まれただろう。

それはどんなにどんなに拭いさろうとも消えることはない。

まるで白い絵の具に少しでも黒が混ざれば2度と白にはならないのと同じだ。

その結果相手を信じることができない。

お互い初めてあったもの同士ならなおさらだ。