僕達は数分の間沈黙してしまった。いや、正確にはこの数分自分のことで一杯になってしまったのだ。

「今、僕達が出来ることをしましょう?」

「は、はい。そうですね。私達が生き残れるためにがんばりましょうね?」

「はい。」

僕達はあと何日この屋敷で生活すればいいのだろうか?

1日目から僕達の不安はつのっていった。

「ちっ。この屋敷に針金を切れるようなものがないじゃねぇか。」

まずは、ここから脱出することが先決だ。なのに何であいつはわからないんだ?

オレはさっきまで探し物をしていた2階の部屋をでて物置にむかった。

「物置なら針金を切る道具があるだろう。大丈夫。大丈夫。」

まるで、自分が2人いてこの状況を遠くから見ているような。

そんな感覚に襲われていた。

この状況を逃れたいと思う気持ちがこの感覚を起こしてしまっているのだろう。

屋敷の物置は1階の玄関の奥にある。

物置は鍵がかけられている。

その鍵を開ける為の鍵はキッチンから見える場所にある。

「ちっ、今あそこには顔を会わせたくねぇ奴がいるじゃん。最悪だわ。」

そう思いながらキッチンへと足を運ぶ。

キッチンのドアの後ろから中を覗いた。

2人はどこにも見当たらなかった。きっと晩ご飯を食べた後、屋敷の中を隅々まで見て回っているのだろう。

このスキに物置の鍵を手に入れた。

「物置のなかに何かある。針金を切断する何かが。」

誰にも聞こえないような小さな声でそう呟いた。

物置まで行くのに何時間と時間がかかったような気がした。

こんな状況ならそんな気になっても仕方ないだろう。

足取りが重たい。

物置につき、さっき手に入れた鍵で物置の扉を開けた。

ガチャッ

オレはおそるおそる扉を開けた。

そこにはへんてつもないよく見たことのある日常に溢れた物置があった。

「なんだよ。驚かせやがって。」

そう声をもらした。

物置の中はホコリが被っていてかなりの年月ここが使われていないことがわかる。

扉の鍵と鍵穴が錆びてなかったことに心のそこからスッと胸を撫で下ろす自分がいた。

物置中の探索を続けた。

やはり、屋敷の物置だ。一般ご家庭の物置より2倍の大きさがある。

中にはいろんなものがある。

入り口付近には大量の掃除機があった。この屋敷の主人は相当キレイ好きだったんだろうか?

それともこの屋敷は広いから各部屋や部屋 の状態によって使い分けていたのだろつか?

棚には日曜大工でもやるのかと思わせる工具がたくさんある。

この屋敷の主人は元大工なのだろうか?それとも趣味なのだろうか?

「っ⁉ ペンチがない!こんなに工具が揃っているのにペンチだけがない?あり得ない!間違いなくこの物置には誰にも入られた形跡がない!それはホコリの具合から見て間違いない!それならなぜペンチだけがない?」

罠とは考えられない。なぜならこの物置に侵入できたはずがないからだ。

たまたま、ペンチだけがなかったのだろうか?