もしかしたら自分が無くしただけかもしれない。

もしかしたらどこかに置き忘れただけかもしれない。

なのにもう1人のせいにする。

自分じゃないならもう1人のせい。

二人がいればどちらかが悪い。と決めつけている。

人によってはお互いが悪いと言う人もいる。

しかし、そんな人でも''無くしただけかも''という考えにはならない。

人は自分に都合よく物事を決める生き物である。

その頃僕は寝室を出て水善さんを探していた。

「わ、私は・・・・・・」

水善さんは書斎にいた。

僕は水善さんの肩をポンッと叩いた。

「キャッ‼」

「す、すいません。僕です。」

「高松・・・くん?」

水善さんは目に涙をいっぱい溜めていた。

「水善さん。 大丈夫です。犯人は僕ではありません。」

「それでは、やっぱり笹原くんが?」

「それは、わかりません。でも・・・・・でも僕は彼を信じたい。そう思うんです。」

「 優しいんだね。」

「こんな状況だからこそ僕は誰も疑うことなく信じたいんです。」

「私もあなたのことを。高松くんのことを信じるよ。君なら信じられる。」

「ありがとうございます。」

その時心から安心したせいか大きなお腹の音がなった。

「ぷっ。ふふっ。」

僕は一瞬で顔が赤くなったんじゃないかなと思う。

「そういえば今昼ごはんの時間帯ですね。」

「そうですね。お腹すきましたね。私何か作りますよ?」

「ありがとうございます。本当に・・・・・」

最後の言葉は聞こえないくらいの声で呟いた。

水善さんはご飯を作りにキッチンへとむかった。

僕はリビングにむかいソファーに腰を掛けた。

今まであった出来事を一つ一つ思い返し、さっき見た寝室や倉庫などのことを含めながら今日起こった事件を解けないか考えていた。

本当に僕たちの中に犯人はいるのだろうか?

そんな疑問が頭に浮かんだ。

まずは状況を整理しよう。朝起きてすぐに僕は食堂にむかった。食堂では僕より先に水善さんが来ていた。おそらく朝食を作ろうとしてくれていたんだと思う。その後床にうつ伏せの状態で死んでいた''死体''を見つけた。すぐに笹原くんが食堂に来た。

今日の朝の状況はこんなところだろう。

その出来事の後昨日探索を諦めた寝室へ足を運んだ。鍵は居間のゴミ箱の中に捨てられてあった。寝室には高額な値段のアクセサリー・ネクタイピン・パソコン・そして日記。部屋は壁一面血で塗りたくったような状態だった。

今日1日をまとめるとこんなところだろう。

そんなことを考えていると食堂から味噌の香りが漂った。

「ニンジンと玉ねぎのお味噌汁ができましたよ。」

「ありがとうございます。もう、お腹がペコペコでしたよ。」