恋ってやつは厄介である



びっくりして振り返ると、そこには天使の笑みが。



「野崎さん、おはよう」


「ぶっぶぶぶぶ部長!
おおおおおはようございますっ」



バタン!と勢いよく下駄箱を閉め、負けじと満面の笑みを顔面に貼り付けた。



「なにか悩み事でもあるの?俺が何回も呼んでるのに華麗に無視してくれたね。」


にこりと笑う部長。その笑顔に、その場にいた女子生徒たちがキャッキャと騒ぎ出す。


でも、その天使の笑みの裏に隠された得体の知れないなにかをあたしは知っている。



「あのぉ、ですね。それはですね。
今日の朝ご飯がですね。そう、朝ご飯がお腹にきちゃったみたいで、ちょっとそれについての解消法を、」


「へぇ。朝からツライね。
保健室行って薬貰って来なよ?お大事にね」


「はい!」



去っていく部長の背中に羽が見える。部長の周りだけキラキラ輝いて見えるよ。


いくら心配の声が棒読みだってあたしは気にしませんよ。ちゃんと気づいてないフリしてますからね。いい子でしょ。




荒谷 伊吹(あらたに いぶき)


彼こそが、我が高校バスケ部の部長なのである。


部長は、整った天使のようなご容姿をしており、爽やか優男イケメンなのだ。

部長はいつだってキラキラした笑顔(胡散臭いなんて言ってないよ)を崩さない。