後輩の未折 柚月(みおり ゆづき)ちゃんは一年生にも関わらず、パーフェクトガールだった。
先輩にしごかれてしごかれてしごかれまくってやっと仕事を覚えることが出来たあたしと違って、柚月ちゃんは一度マネジの仕事を説明しただけでほぼ完璧にそれをミッションクリアしてしまった。
それも、あたしのヘタっぴな説明で。
仕事が出来てよく機転が利いて、おまけにこんな美少女どこ探してもいないってくらい可愛い。バスケ部に馴染むのも早かった。
こんなダメダメな先輩のあたしにもすごく懐いてくれて、すごくいい子だった。
…ホントに、いい子だった。
「…ハズ、なんだけどなぁ」
朝の騒がしい廊下。天気も良く、春の小春日和に相応しい日。だけども、あたしの心には土砂降りの雨が降っている。
昨日、部活中も家に帰ってからも考えていたのは柚月ちゃんのこと。
彼女のいきなりの豹変ぶりに頭の中がついていかなくて困っちゃうな。
そんなことを考えながらノロノロと靴を履き替えていると、後ろから軽く肩を叩かれた。

