恋ってやつは厄介である




「あの、柚月ちゃん、来てる?」



一年生の教室に訪れると、一気に注目の的。教室の隅の方で女の子たちがヒソヒソ話しているのが目に見えた。
気にしないふりをして近くの女の子聞くと、その彼女は怪訝そうな顔をした。


同時に、クラスもザワザワと騒がしくなる。




「柚月ちゃん?……あぁ、あいつか。
あいつならまだ来てないですよ。何か用でもあるんですか?」



な、なんか刺々しい言い方だね一年生ちゃんよ。お姉さん今ちょっとだけイラッとしちゃった。



「まだ来てないならいいんだけど…。
失礼しましたー」




「あいつはどうせまたサボりですよ〜」




帰ろうと背を向けて歩き始めた時、後ろから聞こえてきた声に足が止まった。




…サボり? …また? …うそでしょ?

















バスケ部のマネジたるものがサボりとはなんたることじゃああああ!!!!


戻ったあたしは女の子の胸ぐらに掴みかかり、ゆっさゆっさ揺らしながら質問した。




「いつもサボってるの!?」


「ひぃっ…は、はい!だいたいは…」


「そうなの。場所とかわかったりする!?」


「し、しらないです!」


「ありがと!」




掴んでいた手を離し一気に来た道を戻る。マネジたるものがサボりですって!?
許せん、後輩マネジ!



部のマネージャーが授業をサボるなんて前代未聞だよ。そのルールは部活内での暗黙の了解だってあたし説明したよね!?柚月ちゃんんんんんんん!!


このことが部長にしられたら……




大型ブルドーザーに乗った部長が高らかに笑いながらあたしに土を被せていくという地獄絵図が頭に浮かび、ゴクリと唾を飲み込んだ。



テストで上位10位以内に入れなければ、そのバスケ部員は活動停止になってしまう。マネジも同様なのだ。
今スタメンに入っているバスケ部員はみーんなテスト上位者。



スタメン入りしたければ、バスケの技術を磨き、テストで上位になれ。




これがバスケ部での暗黙の了解なのだ。





ーーーキーンコーンカーンコーン



柚月ちゃんを探そうと屋上へ向かおうとした時。無機質な鐘の音が鳴り響いた。