恋ってやつは厄介である




「やっと死んだ魚の目に光が宿ってきたか。 朝から辛気臭ぇ顔されるとこっちまでテンション下がんだよバァーカ」


「あたしそんな目してた?」


「あぁしてたね。こーんな目しながら歩いてくるからマジびびった」



そう言って、祠希があたしの真似をするから自然を笑みがこぼれた。



「ぶっ!そんなきもい顔してないし!」


「俺が言ってんだよ。してるに決まってんだろーが」


「それは祠希の普段の顔でしょ!」



なんだか、祠希と話してると心がぽかぽかするなぁ。




「あ?てめぇ俺を怒らせたいのか…
ってちげーだろ俺!これじゃいつもと一緒じゃねーか! えーと、伊吹と打ち合わせした内容なんだっけ…やべぇ忘れた!殺される!思い出せ俺……!」



突然うわあああ、と髪の毛を掻き毟る祠希。


…さっきからなに言ってるんだろう


冷ややかなあたしの目線に気付いたのか気付いていないのか、顔を上げた祠希はひとつ咳払いをしてから、





「ま、まぁ…とにかく、お前は笑顔の方が良いってことだよ…な。
じゃあな!俺ちゃんと言ったからな!」



あたしの頭をぽん、と軽く叩くと階段を上っていった。



「……え?」







……なに、もしかしてあたし今、



励まされた? 祠希に? 励まされた?






「……え?」