恋ってやつは厄介である




それからというものの。なんとなくバスケ部に居づらくなって、何度も仮病を使ってずる休みした。


あたしがマネジやめても、誰も止める人なんかいないよきっと。だって、あんなに可愛くて優秀なマネジが他にいるのに、二人も必要ないよね。



それに、柚月ちゃんから何かを言われるようなことも無くなったし。これでいいんだよね。





「はぁー」



今日16回目のため息。その原因は、あたしの手に握られている紙。その紙はあたしの手汗でくっしゃくしゃになっているけど、そこにはきちんと"退部届"と書かれている。




「今日であたしのマネジ生活もとうとう終わりなんだ」



これは前から決めていたこと。


それに丁度今は夏休み前。辞めるにはぴったりの時期。夏休み中バスケ部員と会わなくていいんだし、心の整理をするには十分な期間だろう。



そんなことを考えながら騒がしい朝の廊下を歩いていると、聞き慣れた声と共にかかる異様な肩の重み。




「よぉ、サボり魔ネジ」


「サボり"魔"と"マ"ネジをかけないでくれるかな。座布団あげれないよ」


「んだよー機嫌悪りぃな。そんなトロトロ歩いてたら遅刻するぜ?」


「それよりも肩にかかる異様な重さのせいで遅刻しそうなんですけど…!?」




…祠希にこうやって、朝挨拶してもらえるのはきっと今日で最後なんだろうな。
マネジを辞めたら、バスケ部の人たちとはきっぱり縁を切ると決めている。



それが、あたしなりに考えたみんなに迷惑をかけない唯一の方法。