その声の正体も確認しないまま振り返ったあたしは。
今までの数十分ほどの出来事を、死ぬほど後悔した。
目の前に立っているのは、世界一高いヒマラヤ山脈など優に超えてしまうような絶壁。
覚えておいてほしい。
その絶壁に抗おうとするものは皆ーー
「それ、なんのウォーミングアップ?」
ーー必ず、地獄を見ることになるだろう。
(元バスケ部マネージャーK.Yさん談)
「…はぁ、はぁ。あ、あたしマネジなんだけど、なんで、タイヤつけてグラウンド走ってるんだろう」
「先輩、奇遇っすね。俺もなんでか知らないですけどタイヤつけて走ってるんすよ」
夕日に染まるグラウンドをタイヤをつけながら走ること10分。あたし普段マネジの仕事ぐらいしか運動してないからこれは拷問だね。
「だいたい夏輝のせいでしょ!」
「俺のせいじゃないです先輩のせいでしょ」
「なにをぉぅ!」
「夏輝も野崎さんもタイヤ増やして欲しいの?」
『……』

