「思い出…?」 「ごめん、何でもない。」 そう言って空を見上げる吉澤くん。 一瞬、ほんとに一瞬だけど、吉澤くんが悲しい顔をした気がする。 「中、入ろうか」 「うん」 わたしたちは中に入る。ベランダのドアを閉め鍵もかける。 「そういえば桜井さんは資料探すんだっけ?」 「あ、そうだった」 忘れてた。資料探さなきゃ。 「一緒に探すよ」 「ありがとう」 そう言ってわたしが探す資料を探してくれる吉澤くん。優しい。行動ひとつひとつに心が動く。 あー、好きだなあ。