世界はまだ君を知らない




「ずっと一緒にいるよ、約束する」



耳元で囁くそのひと言に、丸め込まれていると思う。

けれどその誓いが嬉しくて、つい微笑みをこぼさずにはいられない。



子供のような意地悪で、からかう。そんな一面も、恋人としての距離だからこそ見られるもの。

そう思うと悔しいけれど愛しくて、もう一度キスを交わした。



「あ。あとうちの会社、家庭を持つと転勤が極力なくなる等考慮をされるようになるんだが」

「え?」



家庭を、持つと……って?

その言葉の意味が分からず首を傾げる私に、了さんはおかしそうに笑って自分のポケットを探ると、私の左手の薬指になにかをはめる。

見ればそれは、キラリと光る小ぶりなダイヤがついた指輪で、その輝きにようやく意味を知ると、驚きを隠せない。



「ずっと翠のそばにいるって約束する。だから、翠も俺のそばにいると約束してくれ」



それは、ふたりの願いを誓い合う意味を持った輝き。



「……はい……」





約束、しよう。

永く続くふたりの未来を。



伸びた髪を揺らす私と優しく笑う彼が、ふたり手をつなぎ歩く、明るい未来を。







end.