世界はまだ君を知らない




「正直まだ迷ってる。……翠は、どうしてほしい?」



私は、どうしてほしいか。

その問いかけに、喉まで出かけた無責任なわがままを飲み込む。



「……了さんの、好きにしてください」



自分の気持ちを押し付けるわけには、いかないから。

そのひと言をつぶやいた私に、彼は私の顔をそっと上げさせる。こちらを見るその笑みは悲しげで、胸がチクリと痛んだ。



「どうでもいいか?」

「違います!けど……」



どうでもいい、なんて、そんなわけない。

だけど、言っていいのだろうか。

その戸惑いすらも分かっているかのように、了さんは私の頬をそっと撫でる。



「……素直に言ってくれないか?わがままでもいい、翠の率直な気持ちが知りたい」



いいの、かな。

私の気持ち、正直に言って呆れられないかな。

子供みたいだとか、考えなしだとか、思われてしまわないかな。



……でも。あなたが知りたいと、言ってくれるのなら。

そのシャツを握る手に、ぎゅっと力を込める。