世界はまだ君を知らない




「そういえば、仁科店長は彼女っていないんでしたよね。作らないんですか?」

「作ろうと思って作るものでもないだろ。自然に任せる」

「はぁ!?なに言ってるんですか!イケメンで背も高くて仕事も出来て……そんなハイスペックを利用しないなんてどうかしてますよ!!」



利用って……。

バン!とテーブルを叩く藤井に、なにを言っているんだお前は、と呆れた顔になる。



「お前さぁ、合コンばっかり行ってないで周りの女にも目向けてみれば?友達の友達とか」

「周りの女って言われても、周りはみんな結婚してるか彼氏持ち……いいと思ってた梅田さんも新しい金持ちの彼氏の自慢してたし」



藤井はいっそう深いため息をつくと「ビールおかわりー!」と店員に声をかけた。



「梅田は顔はいいけど中身がなぁ。俺はあれより千川の方がよっぽどいい女だと思うけど」



すると、不意に上坂がこぼした『千川』の名前に、ビールをゴクンと思い切り飲み込んでしまう。



せ、千川?

いきなりなぜその名前を、と思いながらも、顔に出ないように平然を装う。