財布……?これたぶん若菜さんの、だよね?
予想するに、恐らくケーキを買ってからお財布をしまおうとして、ついうっかりこちらの袋に入れてしまったのだろう。
大変だ、若菜さんに渡さなくちゃ。
私はとりあえず箱を冷蔵庫にしまうと、急いで店側の方へ戻る。
けれどそこにはすでに若菜さんと仁科さんの姿はなく、残された藤井さんたちだけがお喋りをしながら立っているだけだ。
「あれ!?若菜さんってもう行っちゃいました!?」
「え?あぁ。千川が裏に行ってすぐ、仁科さんも近くまで送る、って一緒に出て行ったよ」
大変だ、駅についてからじゃ困るよね。
途中で捕まえなくちゃ、と私は慌ててお店を出た。
そこから早足で駅へ向かうと、ちょうどお店から100メートルほど行った先で、ふたりが信号待ちをしている後ろ姿が見えた。
よかった、まだ近くにいた……。
声をかけようと近づくと、ふたりの会話が聞こえてくる。



