世界はまだ君を知らない






最低、最悪

笑う相手も、逃げ出す自分も。



だけど、あの日の痛みを思い出すと泣き出しそうで、言葉が出てこない。



情けない

結局なにも、変われていない。



弱い自分に思い知る。

どれだけ彼が言葉をくれても、変えようと願ってくれても、自分の中身はこのままだということ。



弱いまま、臆病なまま

私は変わらない、変われないんだ。





逃げるようにやってきた、駅から少し離れたところにある大きな公園。

ひと気のないその片隅でようやく足を止めると、気が抜けたように玄関にしゃがみ込んだ。



……最悪。

なにも言えなかった。

それどころか、思い出してつらくなって、今もまだ少し手が震えてる。



泣き、そう



『ひとりで、泣かないでくれ』



こみ上げそうになる涙をぐっとこらえて思い出すのは、彼の言葉と優しい腕。



仁科さん、仁科さん、仁科さん

頼って、いいのかな

甘えても、いいのかな



縋って手を払われたらと思うと、怖い。

だけど、その言葉を信じたいと願う自分がいる。



その一心で、バッグからスマートフォンを取り出すと『連絡先』をタップする。

そして以前皆と同時に登録をした、『仁科了』の名前にそっと触れた。