世界はまだ君を知らない





ど、どうしよう……。

仁科さんのことだから、ただの親切心からの提案だってわかってる。

下心はきっとないだろうし、むしろ一切ないからこそ家に泊められるわけで……。



考えながら歩いていると、少し溶け始めた雪に足をすべらせてしまう。



「わっ、と!」



咄嗟にすぐ近くの手すりにつかまり、転んでしまうのは間一髪免れた。

せ、セーフ……!



「雪道は滑りやすい。気をつけろ」

「は、はい……」



雪道なんて慣れないから、足元が不安定だ。気をつけなくちゃ思い切り転びそう。



そう気を引き締めて、手すりからそっと手を離す。

けれど、滑りたくないと変に力んでしまうせいか私は膝を曲げ、まるで生まれたての子鹿のような姿勢になってしまう。



「……ブッ」



そんな私を見て、仁科さんは吹き出し笑った。