「おいやめろって葵」
小春がいなくなった後、咲太郎は言った。
「なにが?」
「なにがって…そうやってきつく言うのは良くないよって言ってるじゃないか」
「俺は思ったことだけを言っただけだ」
「それが駄目なんだって…」
やれやれと言わんばかりに咲太郎は頭を抑えた。
「多少のお世辞や嘘も生きていくには必要だよ、葵」
「お前は多少どころではないがな」
図星をついてきた葵に一瞬ひるむ。
「俺は嘘などつかん。この先一生な」
そうきっぱりと言い切る葵に咲太郎は「はぁ」とため息をついて、急に真面目な顔になった。
そして小さく呟く。
「未来は分からないよ葵…」
「ん?何か言ったか咲太郎?」
「いいや、何も」
よく聞こえなかったと聞き返した葵を誤魔化すようにブンブンと手を振った。
「?」
少し首をかしげた葵だったが咲太郎のことだからどうせくだらないことだろうと勘ぐるのをやめた。
しばらく経って、店の奥から小春がひょっこりと顔を出した。
「お待たせしました。お茶とお団子二人前です」
丸いお盆にのせたお茶と団子を二人の傍へと持っていき、丁寧に置いた。
涼しげな緑のお茶の水面がかすかに揺れる。
「ありがとう小春ちゃん。」
「ゆっくり召し上がって下さいね」
にっこり微笑む小春を前に咲太郎と葵は茶と団子を食べ始めた。
「あ~癒やされる~」
一口お茶を飲んだ咲太郎はほっと一息ついた。
「やっぱり暑い時のお茶は最高だよ。ねぇ葵…」
「こんなものか」
咲太郎が振り向くとそこには空の茶碗と皿。
それと満足そうな葵。
「え…葵もう食べ終わったの?」
「まぁな」
「早っ!」
「まぁ…こんなものだろう」
と言いつつも目は咲太郎の団子に…
「た、食べたいの?葵」
その視線に気づいた咲太郎が葵に訊いた。
「何を言っているお前の気のせいだ」
「いやいや!ばっちり食べたそうにしてたから!誤魔化すのやめなさいよ!」
咲太郎がすかさず突っ込むが葵はそっぽを向いたまま、黙っている。
それを見かねたのか察したのか、小春が言った。
「今日は暑いですし、サービスということでもう一皿持ってきましょうか?」
「勝手にしろ」
「いやいや勝手しろはないでしょ」
「わかりました。じゃあ持ってきますね」
察しのいい彼女は再び店の奥へと消えていった。
「ふん」
「葵…」
偉そうに椅子に座っている葵を見て、咲太郎は本日何回目かのため息をついた。
素直になれよ…
小春がいなくなった後、咲太郎は言った。
「なにが?」
「なにがって…そうやってきつく言うのは良くないよって言ってるじゃないか」
「俺は思ったことだけを言っただけだ」
「それが駄目なんだって…」
やれやれと言わんばかりに咲太郎は頭を抑えた。
「多少のお世辞や嘘も生きていくには必要だよ、葵」
「お前は多少どころではないがな」
図星をついてきた葵に一瞬ひるむ。
「俺は嘘などつかん。この先一生な」
そうきっぱりと言い切る葵に咲太郎は「はぁ」とため息をついて、急に真面目な顔になった。
そして小さく呟く。
「未来は分からないよ葵…」
「ん?何か言ったか咲太郎?」
「いいや、何も」
よく聞こえなかったと聞き返した葵を誤魔化すようにブンブンと手を振った。
「?」
少し首をかしげた葵だったが咲太郎のことだからどうせくだらないことだろうと勘ぐるのをやめた。
しばらく経って、店の奥から小春がひょっこりと顔を出した。
「お待たせしました。お茶とお団子二人前です」
丸いお盆にのせたお茶と団子を二人の傍へと持っていき、丁寧に置いた。
涼しげな緑のお茶の水面がかすかに揺れる。
「ありがとう小春ちゃん。」
「ゆっくり召し上がって下さいね」
にっこり微笑む小春を前に咲太郎と葵は茶と団子を食べ始めた。
「あ~癒やされる~」
一口お茶を飲んだ咲太郎はほっと一息ついた。
「やっぱり暑い時のお茶は最高だよ。ねぇ葵…」
「こんなものか」
咲太郎が振り向くとそこには空の茶碗と皿。
それと満足そうな葵。
「え…葵もう食べ終わったの?」
「まぁな」
「早っ!」
「まぁ…こんなものだろう」
と言いつつも目は咲太郎の団子に…
「た、食べたいの?葵」
その視線に気づいた咲太郎が葵に訊いた。
「何を言っているお前の気のせいだ」
「いやいや!ばっちり食べたそうにしてたから!誤魔化すのやめなさいよ!」
咲太郎がすかさず突っ込むが葵はそっぽを向いたまま、黙っている。
それを見かねたのか察したのか、小春が言った。
「今日は暑いですし、サービスということでもう一皿持ってきましょうか?」
「勝手にしろ」
「いやいや勝手しろはないでしょ」
「わかりました。じゃあ持ってきますね」
察しのいい彼女は再び店の奥へと消えていった。
「ふん」
「葵…」
偉そうに椅子に座っている葵を見て、咲太郎は本日何回目かのため息をついた。
素直になれよ…

