茶屋に訪れる客足も一段落し、小春は店の前の掃除をしていた。
少し動くだけで額ににじむ汗。
「ふぅ…」
ため息をついた小春が道の向こうがわに目を向けると、若い二人の青年がこちらに歩いてくる。
咲太郎と葵だ。
「いらっしゃいませ」
にこやかに出迎える小春を見て咲太郎が言った。
「ほらな?えらいべっぴんが看板娘なんだよ」
べっぴんなんて言い過ぎだと思うが…恥ずかしい。
少し赤面して小春はうつむいた。
「別にそうでもないだろう」
そう呟いたのは咲太郎の隣にいた葵だった。
「お、おい!お前失礼だぞ」
咲太郎は慌てた様子で葵に言う。
「ごめんね小春ちゃん…こいつ無愛想で…」
「おだてるよりはましだろう」
言い争う二人を小春はぽかんと見ていた。
ウソだとわかるくらいおだてる青年とウソを知らない青年。
その組み合わせがなんだかおかしくて小春はくすりと笑った。
「何を笑っている、女」
「女は失礼だろう、葵」
ほら、やっぱり。
「ふふ…ごめんなさい。あなた達が面白くて。それと私の名前は小春。新崎小春よ。」
「そうか小夏というのか」
「小春だってば、葵」
納得したようにうなずく葵に、咲太郎は困ったように言った。
「二人ともお茶を飲みに来たのでしょう?こちらへどうぞ」
小春は風通りのよい日陰の席に二人を案内した。
彼らはゆっくりと腰を下ろす。
「ご注文は?」
「えーとお茶二つと…」
「どうせ茶屋だ。団子ぐらいしかないだろう」
店の中にある品目表を見ながら注文をする咲太郎を遮るように葵が呟く。
「でもこの季節は暑いですから、冷たい甘味もあるんですよ」
「確かにここのところ暑いよねぇー」
手を仰ぐようにして答える咲太郎。
「夏だからだろう」
「……」
葵が呟くと、どうしても会話が終わってしまう。
「あ、あはは…」
と小春も言うしかなく、ただただ気まずい雰囲気が三人の間で流れる。
「葵は口下手なんです。大目に見てやって…」
咲太郎が助け船を出すと同時に、葵が彼の後頭部を叩いた。
「余計なお世話だ。剣士たるものべらべらと喋るものではない。お前のようにな」
「葵にしては今の長く喋ったんじゃない?」
「剣術を極めているのですか?」
「そうだが、お前は早く客に茶を持ってくるべきではないのか?」
「う…ごもっともです…」
小春はしゅんとしたように1度肩をすくめると、いそいそと店の奥へと入って行った。
少し動くだけで額ににじむ汗。
「ふぅ…」
ため息をついた小春が道の向こうがわに目を向けると、若い二人の青年がこちらに歩いてくる。
咲太郎と葵だ。
「いらっしゃいませ」
にこやかに出迎える小春を見て咲太郎が言った。
「ほらな?えらいべっぴんが看板娘なんだよ」
べっぴんなんて言い過ぎだと思うが…恥ずかしい。
少し赤面して小春はうつむいた。
「別にそうでもないだろう」
そう呟いたのは咲太郎の隣にいた葵だった。
「お、おい!お前失礼だぞ」
咲太郎は慌てた様子で葵に言う。
「ごめんね小春ちゃん…こいつ無愛想で…」
「おだてるよりはましだろう」
言い争う二人を小春はぽかんと見ていた。
ウソだとわかるくらいおだてる青年とウソを知らない青年。
その組み合わせがなんだかおかしくて小春はくすりと笑った。
「何を笑っている、女」
「女は失礼だろう、葵」
ほら、やっぱり。
「ふふ…ごめんなさい。あなた達が面白くて。それと私の名前は小春。新崎小春よ。」
「そうか小夏というのか」
「小春だってば、葵」
納得したようにうなずく葵に、咲太郎は困ったように言った。
「二人ともお茶を飲みに来たのでしょう?こちらへどうぞ」
小春は風通りのよい日陰の席に二人を案内した。
彼らはゆっくりと腰を下ろす。
「ご注文は?」
「えーとお茶二つと…」
「どうせ茶屋だ。団子ぐらいしかないだろう」
店の中にある品目表を見ながら注文をする咲太郎を遮るように葵が呟く。
「でもこの季節は暑いですから、冷たい甘味もあるんですよ」
「確かにここのところ暑いよねぇー」
手を仰ぐようにして答える咲太郎。
「夏だからだろう」
「……」
葵が呟くと、どうしても会話が終わってしまう。
「あ、あはは…」
と小春も言うしかなく、ただただ気まずい雰囲気が三人の間で流れる。
「葵は口下手なんです。大目に見てやって…」
咲太郎が助け船を出すと同時に、葵が彼の後頭部を叩いた。
「余計なお世話だ。剣士たるものべらべらと喋るものではない。お前のようにな」
「葵にしては今の長く喋ったんじゃない?」
「剣術を極めているのですか?」
「そうだが、お前は早く客に茶を持ってくるべきではないのか?」
「う…ごもっともです…」
小春はしゅんとしたように1度肩をすくめると、いそいそと店の奥へと入って行った。

