恋する5秒前~無愛想なキミと~



「そうよね、あと少しで夏休みじゃない。休みに入れば皆、あんたたちのことなんか、皆すっかり忘れてるって。運が良かったんじゃない?」


「うん、私もそう思ってる」


「じゃあ、あと少しのガマンだね、環」


「うん。ガンバる」


「ところでさぁ、環。夏休みに入ったら、どこか遊びに行かない?」


瀬戸君からいつの間にか話題は夏休みの話しに切り変わっていた。


香奈と二人で話していたら、


「あっ!」


小さく声を上げた私。


「どうしたの?環」


「ううん、なんでもないよ」


「あら、桜井君。相変わらず無愛想な顔してるわね」


後ろを振り返った香奈は苦笑いをした。


本当は桜井君と目が合ったんだ。不機嫌そうな表情はいつもと同じ。


私の方を見ながら桜井君は歩いて来る。


彼と目が合っただけなのに、魔法に掛けられたみたいに体が動かない。


席替えをして、桜井君の席は私が座るの列の最後尾。彼は私の横を通りすぎて席に着いた。


安堵のため息をついていると、


「そうそう、環。桜井君のことで面白い話を聞いたんだけどね……」


香奈は思い出したように話し出した。