「うーん。なんとなく……?」 「なんとなくって」 「特に深い意味はないよ。さあ、香奈、早くカレー食べよう。お昼休み終わっちゃうよ」 「あっ、ホントだ。環、急ぐよ」 私たちは、冷めてしまった食堂自慢のカレーライスを慌てて口に運んだ。 香奈の前ではなんとなくって言ったけど、本当はかなり気になるんだ。 教室で見掛ける度に思ってた。 桜井君の笑った顔、一度も見たことがないよ。