パッと目を見開くと視線が重なった。
「桜井君には関係ないでしょ」
小さな声で反論して、彼の視線から逃れるようにうつむくと
「なんだよ、それ」
桜井君は舌打ちをしてからボソッと呟いた。
桜井君、更に機嫌が悪くなっている。
「だって……」
言いかけたその時、授業の始まりを告げるチャイムが鳴り出した。
「授業始まったから、先に行くね」
私は、覆い被さるようにして立っていた桜井君の脇をすり抜けて教室目指して走り出した。
び、びっくりしたぁ!
瀬戸君とちょっと立ち話をしてただけで、あんなに機嫌が悪くなるんだもん。
意味分かんないよ。
なんとか自分の席に戻ると乱れた呼吸を静めながら、机の中から数学の教科書とノートを取り出した。
数学の先生の授業が始まって数分後。
教室のドアがガラリと開く音が聞こえてきた。
入り口を確認すると桜井君が立っていた。

