「でも、クヨクヨしてもしょうがないよ。ゴキには罪が無いんだしさ」
「罪がないって、そんな。でもあのタイミングで出てくることもないのに」
「まあ、ある意味、桜井君には強い印象を与えたんじゃない?」
「そ、そうかな?」
「そうよぉ。ゴキブリに強い女なんて、そうそういないだろうからね」
「香奈、なんか面白がってない?」
「バレた?」
イタズラっぽく笑う香奈。
「でもさ、環。これで桜井君とは話しやすくなったかもね」
「そ、そう?」
そうなると、良いけど。朝の彼の態度を見たら淡い期待は持たない方がよさそうだな。
「環。そろそろ、教室へ戻ろっか」
「あ、そうだね」
私たちは椅子から立ち上がると食堂を後にした。

