「お前のお薦めのカニピラフは旨かったな。けど…」
言いかけて止める桜井君。
「けど?」
彼は何を言おうとして止めたんだろう?
次の言葉を待っていると
「俺、お前が作ってくれたチャーハン、また食いたいんだけど?」
「チャーハン?」
「初めてお前の家に行って食べたチャーハンは俺にとって今まで食べたチャーハンの中で一番旨かったから……」
私の顔をチラリと見て頭をポリポリと掻いている桜井君。
暗くて桜井君がどんな顔をしているのかよく分からない。
「あ、ありがとう。また今度作るね。未来も翔も桜井君に会いたがってるから、今度は家に遊びに来て!」
「あぁ、今度部活が休みになったら行くよ」
そう言って前を歩く桜井君。
「ねぇ、桜井君」
「……ん?なんだよ、環」
「ううん、なんでもない」
大好きだよって言おうかと思ったけど、止めた。
ついさっき、あの桜の木の下でお互いの気持ちを確認したんだもの。
私の彼氏は、桜井隼人君。
普段はぶっきらぼうな話し方で、機嫌が悪そうに見えるけど、本当は優しくて恥ずかしがりやなんだ。
これからも色んな事が起きると思うけど、桜井君となら乗り越えていけると信じてる。
桜井君、これからもよろしくね。
私は心の中でそっと彼に声を掛けると、後を付いて行った。
ーーENDーー

