恋する5秒前~無愛想なキミと~


「お前のお薦めのカニピラフは旨かったな。けど…」


言いかけて止める桜井君。


「けど?」


彼は何を言おうとして止めたんだろう?


次の言葉を待っていると


「俺、お前が作ってくれたチャーハン、また食いたいんだけど?」


「チャーハン?」


「初めてお前の家に行って食べたチャーハンは俺にとって今まで食べたチャーハンの中で一番旨かったから……」


私の顔をチラリと見て頭をポリポリと掻いている桜井君。


暗くて桜井君がどんな顔をしているのかよく分からない。


「あ、ありがとう。また今度作るね。未来も翔も桜井君に会いたがってるから、今度は家に遊びに来て!」


「あぁ、今度部活が休みになったら行くよ」


そう言って前を歩く桜井君。


「ねぇ、桜井君」


「……ん?なんだよ、環」


「ううん、なんでもない」


大好きだよって言おうかと思ったけど、止めた。


ついさっき、あの桜の木の下でお互いの気持ちを確認したんだもの。


私の彼氏は、桜井隼人君。


普段はぶっきらぼうな話し方で、機嫌が悪そうに見えるけど、本当は優しくて恥ずかしがりやなんだ。


これからも色んな事が起きると思うけど、桜井君となら乗り越えていけると信じてる。


桜井君、これからもよろしくね。


私は心の中でそっと彼に声を掛けると、後を付いて行った。



ーーENDーー