駅に着くとタイミング良く電車がやって来た。
「直ぐに電車が来て良かったね」
「そうだな」
電車に乗り込むと夕方の車内は思いのほか混んでいて、席に座れたのは、乗って30分ほど過ぎてから。
「環、もうすぐ着くから起きろ」
隣に座る桜井君に起こされた。
歩き疲れていたのか、いつの間にか眠っていたみたい。
「えっ?あっ、ごめん。私寝ちゃったみたいだね」
「あぁ、イビキかいてた」
「ええっ!イビキ?」
ボソッと呟く桜井君は意地悪そうな顔をして笑っている。
ショックを受ける私に
「着いたぞ、環」
「あっ、うん」
桜井君は私の手を握ると座席から立ち上がり、手を引いた。
「さ、寒いね」
駅のホームに降り立つと辺りは暗くヒンヤリとした風が当り、眠気が一瞬で飛んでいった。
「6時か、予想通りの時間だな。お前ん家の母さん、もう帰って来てるだろ?」
「うん。今日は多分早く家に帰ってると思うよ。桜井君と出掛けることも知ってるし、遅くなって大丈夫だよ」
「そうか」
お母さんには今日は桜井君とデートをすると話してあるから心配なくても大丈夫。
「今日は素敵な場所へ連れってくれてありがとう。まさか、お花見ができるなんて思わなかったから、すごく嬉しかった」
「あぁ、まあ、俺は大したことしてねぇから。樹里達のおかげだけどな」
照れる桜井君。

