恋する5秒前~無愛想なキミと~


駅に着くとタイミング良く電車がやって来た。


「直ぐに電車が来て良かったね」


「そうだな」


電車に乗り込むと夕方の車内は思いのほか混んでいて、席に座れたのは、乗って30分ほど過ぎてから。


「環、もうすぐ着くから起きろ」


隣に座る桜井君に起こされた。


歩き疲れていたのか、いつの間にか眠っていたみたい。


「えっ?あっ、ごめん。私寝ちゃったみたいだね」


「あぁ、イビキかいてた」


「ええっ!イビキ?」


ボソッと呟く桜井君は意地悪そうな顔をして笑っている。


ショックを受ける私に


「着いたぞ、環」


「あっ、うん」


桜井君は私の手を握ると座席から立ち上がり、手を引いた。


「さ、寒いね」


駅のホームに降り立つと辺りは暗くヒンヤリとした風が当り、眠気が一瞬で飛んでいった。


「6時か、予想通りの時間だな。お前ん家の母さん、もう帰って来てるだろ?」


「うん。今日は多分早く家に帰ってると思うよ。桜井君と出掛けることも知ってるし、遅くなって大丈夫だよ」


「そうか」


お母さんには今日は桜井君とデートをすると話してあるから心配なくても大丈夫。


「今日は素敵な場所へ連れってくれてありがとう。まさか、お花見ができるなんて思わなかったから、すごく嬉しかった」


「あぁ、まあ、俺は大したことしてねぇから。樹里達のおかげだけどな」


照れる桜井君。