恋する5秒前~無愛想なキミと~


「ううん、別に具合い悪くなんかないよ。お腹空いたから早くお店の中に入りたいって思ってただけだよ」


さっき映画館でポップコーンを摘まんでいたから、お腹なんか空いていない。


とっさについた嘘。


一人、悶々と考え事をしていたから、具合いが悪そうに見えたのかな?


「俺も腹が減ってるから早く食いたいんだけどな」


そう言いながら桜井君は自分のお腹を擦っていた。


少しずつ前へと進み、お店の中へ入ったのは、並び始めてから30分後だった。


「思っていたより早く中へ入れたね」


「まあな」


椅子に腰掛けながら桜井君と笑い会う。


テーブルの上に置かれていたメニュー表をパラパラと捲っていた桜井君が手を止めて


「環のお勧めのカニピラフって、これのことか?」


私の前にメニュー表を置いた。


「うん。そう!このカニピラフだよ!」


茹でた真っ赤なカニがピラフの上にたくさん乗っている。


カニの旨味が染み込んだピラフ。


「すげぇ、旨そうだな」


「うん、すっごく美味しいよっ」


他のテーブルを見ると殆どの人がカニピラフを注文していた。


「すみません!カニピラフのセットを2つください」


スープとサラダが付いたセットを私達は注文した。