「ううん、別に具合い悪くなんかないよ。お腹空いたから早くお店の中に入りたいって思ってただけだよ」
さっき映画館でポップコーンを摘まんでいたから、お腹なんか空いていない。
とっさについた嘘。
一人、悶々と考え事をしていたから、具合いが悪そうに見えたのかな?
「俺も腹が減ってるから早く食いたいんだけどな」
そう言いながら桜井君は自分のお腹を擦っていた。
少しずつ前へと進み、お店の中へ入ったのは、並び始めてから30分後だった。
「思っていたより早く中へ入れたね」
「まあな」
椅子に腰掛けながら桜井君と笑い会う。
テーブルの上に置かれていたメニュー表をパラパラと捲っていた桜井君が手を止めて
「環のお勧めのカニピラフって、これのことか?」
私の前にメニュー表を置いた。
「うん。そう!このカニピラフだよ!」
茹でた真っ赤なカニがピラフの上にたくさん乗っている。
カニの旨味が染み込んだピラフ。
「すげぇ、旨そうだな」
「うん、すっごく美味しいよっ」
他のテーブルを見ると殆どの人がカニピラフを注文していた。
「すみません!カニピラフのセットを2つください」
スープとサラダが付いたセットを私達は注文した。

