「そんな店があるなんて知らなかったな」
「最近出来たお店なの。前に香奈と一緒に来て食べたら凄く美味しかったからお母さん達とも食べに来たことがあるんだ」
「へぇ……」
「だから、桜井君にも食べてもらいたいなぁって思ってるんだけど、お昼ご飯にどうかな?」
「そんなに旨いんなら、食いに行くか」
「ほんと?」
「あぁ、環のお勧めの店なんだろ?」
「うんっ!お勧めだよ!」
「じゃあ、その店まで案内してくれよ」
「うん、じゃあ、早く行こうよ」
「おう」
そう言って笑顔を見せたら
「あっ……」
桜井君が私の手をそっと握ってきた。
「……手を繋ぐくらい良いだろ?」
「う、うん」
桜井君は私の顔を見ずにボソッと呟くように言ったんだ。
もしかして桜井君、照れてるの?
耳をピンク色に染めた彼は私の手を引きながら前を歩いて行く。
手を繋いだだけで、そんな風に反応してくれるなんて、ちょっとだけ嬉しいな。
私の胸もドキドキ高鳴ってうるさい。
ショッピングセンターの中へ入ると、今度は私が桜井君の手を引いて案内を始めた。
お目当ての洋食店に着いた私達は行列の長さにびっくりしてしまった。
「すげぇな。この店、ずいぶんと混んでるな」
「そうだね、かなり混んでるね」
お店の前に並ぶ行列に驚く桜井君。
この状況だと一時間は待ちそうだな。
「どうする?桜井君。並ぶのが嫌なら他のお店にしようか?」
気を利かして桜井君に聞いてみると
「この後、特に用事もないだろ?」
「うん、ないよ」
「なら、このまま並んで待とうぜ」
「うん」
私達は行列の最後尾に並んで待つことにした。

