なんとか追いついてひと息ついていると、
「あっ、水野さん、こんにちは」
「梁瀬さん、こんにちは。久しぶりだね」
樹里さんが私に気づいて挨拶をしてきた。
「水野さんだよね。俺のこと、覚えてる?去年の夏休みに図書館で一度会ってるんだよね」
「あ、うん。覚えてるよ、門倉君だよね?」
「そう。俺、門倉賢司って言うんだ。隼人とは小学生の時からの腐れ縁だから、隼人に聞けないことは、俺に何でも聞いてよ」
「うん、ありがとう」
そう言って笑う門倉君。
優しくて可愛らしい彼女と一緒にいて門倉君も幸せそうな顔をしていた。
「なんだよ、賢司。変なこと言って水野を困らせるなよ」
私と門倉君の間に割って入ってきた桜井君はちょっと不満そうな顔をしている。
「俺、変なこと言ってないよ。隼人、お前は口下手だからな、彼女を不安がらせないように気をつけろよ」
桜井君の肩をポンポンと叩きながら言い聞かせる門倉君。
「なんだよ、賢司。お前が俺に説教するなんて10年早いんだよ、偉そうにすんな!」
「痛てて、隼人。いい加減にしろよっ!」
そう言いながら桜井君は門倉君にプロレスの技を掛けている。
「樹里のこと泣かすなよ、約束守れなかったら、どうなるか、分かってんだろうな?」
桜井君の声が一段と低くなった。

