「楽しかったね」
「まあな」
映画を見終わり、映画館を出てショッピングセンターまでの道程を歩いていた。
「私ね、あの主人公のファンなんだ。男らしくてかっこいいんだよねぇ」
話を思い出しながらうっとりしていると
「主人公……ってどんなヤツだったっけ?」
桜井君は首を傾げている。
やっぱりな、映画の上映中ずっと寝ていたみたい。
時々聞こえてくる寝息で気づいた私が隣を見ると、爆睡してたんだ。
毎日の部活で体が疲れてるんだろうな。
起こさないで、このままそっとしておこう。
無理して付き合わせちゃったかなぁと、私は内心反省しながら一人で映画を観ていたんだ。
始めから寝ているんだもの、主人公の名前なんか分からないのは当然だよ。
「まあ、大したことじゃないからそのうち思い出すよ。それより、今日のお昼ご飯は何を食べようか?」
話題を変えることに。
「そうだな、なんにするかだな」
私も一緒に考える。
そうだ!
桜井君に紹介したいお店があるんだ。思い出して良かったよ。
「あ、あのね」
私が桜井君に呼び掛けようとしたその時……。

