恋する5秒前~無愛想なキミと~


「楽しかったね」


「まあな」


映画を見終わり、映画館を出てショッピングセンターまでの道程を歩いていた。


「私ね、あの主人公のファンなんだ。男らしくてかっこいいんだよねぇ」


話を思い出しながらうっとりしていると


「主人公……ってどんなヤツだったっけ?」


桜井君は首を傾げている。


やっぱりな、映画の上映中ずっと寝ていたみたい。


時々聞こえてくる寝息で気づいた私が隣を見ると、爆睡してたんだ。


毎日の部活で体が疲れてるんだろうな。


起こさないで、このままそっとしておこう。


無理して付き合わせちゃったかなぁと、私は内心反省しながら一人で映画を観ていたんだ。


始めから寝ているんだもの、主人公の名前なんか分からないのは当然だよ。


「まあ、大したことじゃないからそのうち思い出すよ。それより、今日のお昼ご飯は何を食べようか?」


話題を変えることに。


「そうだな、なんにするかだな」


私も一緒に考える。


そうだ!


桜井君に紹介したいお店があるんだ。思い出して良かったよ。


「あ、あのね」


私が桜井君に呼び掛けようとしたその時……。