「桜井君がここまで連れて来てくれたのよ」
養護の先生が微笑みながら中へ入ってきて私にこっそり教えてくれた。
「桜井君が、私を?」
「そうよ。桜井君、とーってもかっこ良かったわよぉ。水野さんをお姫さま抱っこしてきて連れてきてくれたんだから」
「お、お姫さま抱っこ?」
思いもよらない展開に驚いた私は大きな声を上げてしまった。
「コイツ、熱があるみたいなんで連れて来ましたって言ってね、水野さんをベッドの上へ寝かせてくれたのよ」
「そ、そうなんですか」
「えぇ、そうよぉ。それはもう、とても大事そうに、優しくそっと寝かせてくれたのよ。私、水野さんが羨ましくなっちゃったわ」
ふふっと笑みを浮かべる先生。
想像するだけで恥ずかしくなってきちゃったよ。穴があったら入りたい気分。
火照る体が更に熱くなっていく。
「あ、それでね、水野さん」
「はい」
養護の先生は急に真顔になって話を変えてきた。

