恋する5秒前~無愛想なキミと~


「うなされてたけど、大丈夫かよ?」


「うなされてたって、私が?」


「あぁ、俺が教室へ入ってきたとき、お前が苦しそうにしてたからさ……声を掛けたんだよ」


「そ、そうなんだ。びっくりしたでしょ?ごめんね」


桜井君に謝りながら椅子から立ち上がろうとしたけれど……。


どうしたんだろ?視界がグルグル回っているみたいで、目が回る。


桜井君は何も感じないのかな?


私の体、一体どうなっちゃってるの?


段々と意識がもうろうとしてきて


「あれっ?私、どうなっ……」


「おいっ、水野っ!」


桜井君の声が遠くから聞こえてきて……そこから先の記憶はなくなっていたんだ。


……ん。あれ、ここは?


気がつくと目に入ってきたのは真っ白な天井。


「具合はどう?」


カーテン越しに聞こえてきたのは保健室の養護の先生の声。


「あの、私。どうして、ここに?」


朝、教室にいて桜井君と会ったことまでは覚えていたんだけどな。