「ごちそうさま」
「あらっ、環。ご飯残してるけど、もういいの?」
「うん、今日はもういいや」
「環、ちょっと来て」
お母さんに言われて側へ行くと、私の額にお母さんの手がそっと重なった。
「熱は……なさそうね。気分が悪くなったら帰ってくるのよ」
「うん、そうする」
朝御飯もろくに食べずに部屋に戻ると学校へ行く支度を始めた。
家を出て電車に乗り、何とか学校までたどり着いた。
や、やっと着いた!
今日は学校へ着くまで長く感じたなぁ。
教室へ入ると自分の席へ進んで行く。気が抜けたのか倒れるようにして椅子に座った。
そしてカバンを枕にして顔を伏せると、瞼が自然に閉じていった。
……野、水野。
おい、……か?
あれ?
この声は……桜井君の声?
私、今、夢を見ているのかな?
遠くから聞こえてくる声に耳を傾けていると、その声が段々と近づいてきて……。
「なぁ、水野。大丈夫かよ?」
耳元で大音響で聞こえてきた声に
「わあっ!びっくりしたっ!」
私は飛び起きてしまった。

