恋する5秒前~無愛想なキミと~


その日の夜。


里美ちゃんはまだ仕事から帰って来ていないから、球技大会の練習のことは聞けずにいたんだ。


自分の部屋で雑誌を読んでいると、スマホからLINEの通知を知らせる音が鳴り出した。


誰だろう?


送ってきた相手は……瀬戸君だ。


「球技大会は何に出るの?」


やっぱり、球技大会のことか。瀬戸君は何に出るんだろう?


「私はバレーボールだよ。瀬戸君は?」


「俺はバスケかな」


瀬戸君がバスケなんて意外だな。陸上部に入っていて走るの早いから、サッカーの方かと思ってた。


「そうなんだ、サッカーかと思ってた」


すると、瀬戸君から意外な応えが返ってきた。


「俺、中学の時はバスケ部だったから」


「えっ!そうなの?陸上部じゃなかったんだ」


「うん。俺、桜井と一緒にバスケをやってたから」


「そうなんだ」


言葉が続かなかった。まさか、瀬戸君がバスケ部だったとは。


驚き過ぎて言葉が出てこないよ。


「来週から球技大会の練習が始まるだろ?」


「うん、放課後にね。でも、私は未来や翔のお迎えがあるから練習には出られないかも」


「だったら、俺が練習に付き合おうか?」


「でも、瀬戸君は陸上部の練習があるでしょ?」


「今度の日曜日は部活が休みだから練習に付き合えるけど、どうかな?」


瀬戸君が練習に付き合うと言ってくれたんだ。