その日の夜。
里美ちゃんはまだ仕事から帰って来ていないから、球技大会の練習のことは聞けずにいたんだ。
自分の部屋で雑誌を読んでいると、スマホからLINEの通知を知らせる音が鳴り出した。
誰だろう?
送ってきた相手は……瀬戸君だ。
「球技大会は何に出るの?」
やっぱり、球技大会のことか。瀬戸君は何に出るんだろう?
「私はバレーボールだよ。瀬戸君は?」
「俺はバスケかな」
瀬戸君がバスケなんて意外だな。陸上部に入っていて走るの早いから、サッカーの方かと思ってた。
「そうなんだ、サッカーかと思ってた」
すると、瀬戸君から意外な応えが返ってきた。
「俺、中学の時はバスケ部だったから」
「えっ!そうなの?陸上部じゃなかったんだ」
「うん。俺、桜井と一緒にバスケをやってたから」
「そうなんだ」
言葉が続かなかった。まさか、瀬戸君がバスケ部だったとは。
驚き過ぎて言葉が出てこないよ。
「来週から球技大会の練習が始まるだろ?」
「うん、放課後にね。でも、私は未来や翔のお迎えがあるから練習には出られないかも」
「だったら、俺が練習に付き合おうか?」
「でも、瀬戸君は陸上部の練習があるでしょ?」
「今度の日曜日は部活が休みだから練習に付き合えるけど、どうかな?」
瀬戸君が練習に付き合うと言ってくれたんだ。

