気づけば瀬戸君の腕の中。
引っ張られた勢いでお土産がはいっていた紙袋は下に落ちてしまった。
彼にギュッと抱きしめられたまま茫然とする私。
「どうしたの?」
「ごめん、しばらくの間こうしててもいいか?」
「えっ?」
「しばらく会えないだろ、だから」
「……うん」
瀬戸君の胸に耳を当てると、ドクンドクンと鼓動が聞こえてくる。
あぁ、一緒だ。
瀬戸君も私と同じように緊張してるのかな。
そう思うと私も彼の背中にそっと手を回した。
「俺、今日は水野さんのこと、すげぇ好きなんだって実感した」
「瀬戸君……」
顔を見上げると2人の視線が重なった。
「環……」
瀬戸君に名前を呼ばれて、胸がドクンと大きく鳴り響く。
そして2人の距離が近づき、あと少しで唇が触れそうになったところで
ーだったら、好きでもないヤツとこんなことできるのかよ?ー
桜井君の言葉が脳裏に甦ってきたと同時に
「ごめんなさいっ!」
私は、瀬戸君の体を思いきり突き飛ばしてしまったんだ。

