桜井君は何事もなかったかのように彼女の方に顔を向けて話し始めた。
やだな、心臓がドキドキして止まらないよ。
でも、おかしいよね?
陽子ちゃんの話では、桜井君は高森さんと付き合ってると聞いたんだけど、違う人だったのかな?
あの女の子、見たことがないんだけど同じ学校の生徒なのかな?
もし、そうだとしたら、いったい誰なんだろう?
ー最近の桜井君ってさぁ、優しくなったって、かなり女子から評判が良いみたいだよ。彼女のお陰じゃないかって、噂になってるらしいよー
香奈の話しを思い出す。
高森さんは口うるさい人だから違うだろうな。今の彼女なら納得できるかも。
ふんわりとした優しい雰囲気の彼女と一緒にいれば、無愛想な桜井君だって穏やかな気持ちになるよね。
「タマちゃんは何にするの?」
「えっと、ちょっと待って」
私の頭の中はパニックを起こしていてメニューを決めるどころじゃない。
幸いにも桜井君と未来は背中合わせで顔を合わせることはなかった。
もし、未来が気づいたら大変なことになってたかも。想像するだけで恐ろしいよ。
「環、早くメニューを決めなさいよ」
「うん、分かったよ。今、すぐに決めるから」
メニュー表をパラパラとめくると目に飛び込んできた物に決めた。
「私、オムライスにする」
まずは、大好きなオムライスを食べて心を落ち着かせなくちゃ。

