「それは余りにも身勝手です、紅葉君!」

噛みついたのは、ほむらだった。

「宗家分家のような間柄の夕城と琴月ならまだしも、全くの無関係の柾まで巻き込むのは、お門違いという奴じゃないかなっ!」

「黙れ、牙の抜けた龍が」

ほむらの言葉を一蹴する紅葉。

「同じように夕城次期宗主の座を狙う気概のあるうちはよかったが、今やシオン一味に絆されて、尻尾を振るだけ…お前など龍ですらない。只の犬コロだ。僕に意見する資格さえないという事を、自覚しているのか?」

「っっっ…」

辛辣な紅葉の物言いに、グッと両手を握り締めてプルプル震えるほむら。

「お前…どこまで無礼な言い方ぜよ!」

龍太刀を抜刀した龍馬が、紅葉に蜻蛉の構えで振り下ろす!

これを受け止める紅葉。

「ほぅ…これは猛々しい…思った以上に出来るな」

「真太郎にも紫陽花にも、ほむらにも詫びを入れるがじゃ!」

激昂する龍馬。

「龍馬君…」

涙目のまま、ほむらは龍馬の背中を見つめる。