挑発する紅葉に対して。

「違うよ!」

いきり立ったのは真太郎ではなく、紫陽花だった。

「真太郎君はそんな臆病者じゃないもん!決闘したいなら正式にって言ってるだけでしょ!何でそんな意地悪言うのっ?」

「…無関係の柾一刀流の娘は、しゃしゃり出ないでもらおう」

「無関係じゃないよ!私は真太郎君の味方だもん!」

紅葉の物言いに噛みつく紫陽花。

「ほぅ…味方と…」

紅葉は眼鏡を中指で押し上げる。

「琴月と夕城の決闘の場に口を挟んでくるのだ。何かあった際には、責任をとる覚悟があるという事でいいのか?」

「おい紅葉、紫陽花は…」

不穏な空気を察し、真太郎が制しようとするも。

「いいよ!」

売り言葉に買い言葉。

紫陽花は真太郎に先んじて返答する。

「真太郎君が負けるような事があったら、私が何でもするよ!」