そんな2人の前に、彼は立ちはだかった。

「夕城 真太郎」

四季・色彩銘刀の1つ、黄昏を片手に、紅葉は真太郎と相対する。

「手練手管を弄してもいいが、それでは実力で勝った事にはなるまい。貴様に決闘を申し込む」

それは、天神学園では珍しくもない光景。

だが、ただの腕比べとは明らかに一線を画する、紅葉からの決闘の申し込みだった。

「紅葉、大概にしないか」

心配そうに見守る紫陽花の前で、真太郎は告げる。

「こんな私闘で、由緒ある夕城流の宗主の座を、貴様に譲れる訳はなかろう。どうしてもというなら、父を介して正式な場を整えるがいい。でなければ、琴月の宗主である孔雀殿も納得しないだろう」

「そのような事はどうとでもなる」

真太郎の言い分を、あくまでも突っぱねる紅葉。

「それとも父親の庇護なくしては、怖くて決闘も出来ないか?」