臥龍の血筋に流血をもたらす。

並の人外にはできない事だ。

雪女の一族の中でも、紗雪は天才と言っていいほどの武の才を持っていた。

しかし。

「うんざりだぜ」

龍鷺郎は右手で何かを持ち上げる。

帯のようだった。

花弁が舞い散るような刺繍を施された、紫色の艶やかな帯。

はて、どこかで見たような…。

と思った矢先。

「!!!!」

紗雪の着物の前が、ハラリとはだける。

「いやぁんっ!」

慌てて前を押さえ、しゃがみ込んでしまう紗雪。

「女にこういうやり口は汚いがな…ちとお前も度が過ぎる。お仕置きって奴だ」

帯を投げ返す龍鷺郎。