「これで」

真太郎は汗だくになりながら、狂奏丸を納刀する。

「斬鉄の前段階…『斬岩』まで習得した事になる」

夕城流剣術の極意には段階があり、斬鉄を皆伝とするならば、中伝がこの斬岩にあたる。

全ての物を斬る究極の技法こそが斬鉄。

それ即ち、斬れぬものはないという事だ。

「技法を極め、斬鉄の域にまで達する…それまでひたすらに修練だ」

顎にまで滴る汗を拭い、休息さえ惜しんで、真太郎は再び抜刀する。

呑気に見守っていた紫陽花でさえ、神妙な面持ちとなっていた。

(龍馬、真太郎君はどんどん龍馬を置いてけぼりにして強くなってるよ…)