その頃。

「何だ貴様か」

龍虎軒の入り口に立つ陰気な男を見て、龍娘は顔を顰めた。

「何だはなかろう、俺は客だぞ」

言いながら、カウンター席に座るのはヴラドだった。

紫陽花のせいで、真太郎との勝負は水入り。

興を削がれた彼は学園の仕事もそこそこに、龍虎軒での夕食にやってきた。

丹下の血のせいなのか、勝負を邪魔されると酷く不機嫌だ。

カウンターの上にマンイーターとソウルイーターを置き、分解掃除をしながら。

「ニンニクラーメン大盛り大蒜マシマシ麺固め。今日は血の滴るようなチャーシューも追加だ」

慣れた様子で注文するヴラド。

「店で銃の手入れをするな。営業妨害か」

額に青筋立てる龍娘。