「ん?」

「あら?」

柾家の夕食。

今夜はトンカツと味噌汁なのだが、そのトンカツに添えられた千切りキャベツを口にして、紫陽花と秋桜が声を上げた。

「このキャベツ、美味しいねぇ」

「ホント、シャキシャキしてて瑞々しくて、何ていうか、キャベツの甘味が生きているっていうか」

「何ぜよ、その食レポは」

トンカツの方にがっついている龍馬は、その事に気付いていない様子。

だが、これは大きな進歩なのだ。

キャベツを刻んだのは無論龍馬。

キャベツ本来の旨みを殺さず、上手く千切りを仕上げている。

これは愛刀・陸奥守を使いこなせてきたという事に他ならない。

「こりゃあ、そろそろかねぇ」

まるで龍馬の師匠のような顔をして、紫陽花が味噌汁をズズズと啜った。