「すごいね兄上。みんな兄上の事、憧れの目で見ているよ」

自慢の兄だと、無邪気に喜ぶシャンリー。

「ああ」

シオンはコクンと頷いたきり。

特に笑顔でもなく、誇らしげでもない。

…道行く生徒達の中から、こんな声が聞こえた。

「あれだけ強いシオンなら、天神学園で何が起こっても守ってもらえるな」

勿論だ。

天神学園には剛の者犇めく。

一味の真太郎や龍馬、龍鷺郎や花龍、ほむらに限らず、武闘派教師陣の瑠璃や鬼龍、ヴラドだって、群を抜く強さだ。

そんじょそこらの奴らが束になってかかってきた所で、天神学園を陥落させる事など出来はしない。

だが万が一。

万が一彼らが倒れるような事があれば、最後の要は一味のリーダーであるシオンに委ねられる。

元より勇者の剣は守る剣。

タイマントーナメントで威力を見せつけたグランド・ランスロットだって、トーナメントで優勝する為だけに編み出したのではない。

もっと先を見据えて…守りたい全ての人達を守る為に編み出したのだ。