自分を好きだった女が
他の男にいったから
惜しくなって
取り返そうとしてるんじゃ?

……うそ……こんなあっさり……
簡単すぎ……納得できるかよ

オレはそれだけじゃ……
オレは……

思い出したくもない
だけどあの出来事がなければ
今の幸せはない

今幸せだから
そう思える……のかな?
___________________________________________
こんなあっさり別れるなんて……あの女が言う通りだったのか?納得できるかよ。電話しても出ない。会って話しがしたいって、メールしたら「会いたくない」……って……

それでも、琴里の家に会いに行った。琴里の顔は泣き腫らし……泣きたいのは、俺だっ……

「昨日言ったこと……本気なの?」
「う……うん」
「約束覚えてる?」
「え?約束??」
「ずっと一緒にいるって……約束しただろ?」
「言ったけど、私……迷惑かけてるって気づいたから……隼人くんには、幸せになってほしい……から」
「俺がいつ琴里のこと邪魔だと言った?余計なこと考えてんじゃねー」
「でも……元カノとやり直すんでしょ……それなら……」
「なんで?そんなわけないだろ。」
食い違う会話……どういうこと?

玄関前で話していた。琴里が家に戻って、健人を連れてきた。なんで健人がここにいんだよ。やっぱり……健人とやり直したいってことなのか?ふざけんな……

「ずっと一緒にいたいって、嘘だったんだな。アイツの話は本当だったんだな。」
「何の話だよ?」
「琴里がいなくなったら、生きていく意味がない。琴里……一緒に死んでくれ。ずっと一緒にいてくれんだろ。だったら、一緒に……」
「何……言ってんだよ。お前が、元カノとやり直したいって話だったんじゃないのか?」
なんかこんがらがってきた……

健人から見せられたメール。俺が元カノとやり直したいって?なんなんだよ……これ?

健人が誰かと電話していた。それからしばらくして、大学の女と元カノががきた。なんか……健人と話してる

「お前たち、これはどういうことなんだ。」
「何でもないわよ。」
「何もないわけないだろ?何をするつもりだった?なんでこんなことしたんだ?」
「こんなに早くバレるなんて……許せないでしよ。幸せそうにしてるなんて……私の前で、私を見もしないで……私をふるとか……バカにしてる。その罰よ。」
「なっ……じゃ、元カノは?お前どうつもりで……」
「えー、お金くれるって言うからー」
「金のために、こんなことしたのか?」
「健人知らないの?この子……ホストに貢いで借金だらけなのよ」
「これ以上、あいつらに……何かしようと言うなら、女でも容赦しないから……」
「何よっ……私をバカにして……」
「バカにしてるのは、お前だろ。」
「父に、あんたたちがどれだけひどいか話してあげる。父が許すわけない……」
俺は琴里と琴里の部屋に行った。

近くに人がいるのも忘れて……健人だけじゃなくて、健人の父もいたんだ。他にも何人か……

その中のおじいさんが……
「どうしてそんなひどいことを……ふられた腹いせに、あの2人の恋をめちゃくちゃにして……」
「なによっ……えらそうに……よくも私に……」
「言われるようなことをしたんだ」
「父親に言うんだったな。私が言ってあげよう……」
「なによっ……勝手なことしないでよ。くそじじーが」

本当に電話してる。その後、あの女の父親がきた。青い顔をしている。
「うちの娘がご迷惑をおかけしまして……」
「なによっ。私は、迷惑なんてかけてない。こんなくそじじーに……」
「なんてこと言うんだ。」
「子供の教育もできないんじゃ……もう融資できません」
「今後は、しっかり監督しますので……」
「そん……な……許せるわけないでしょう。琴里ちゃんは何も悪くないのに……こんなことされて。何もなかったように、今まで通りになんてできませんよ。それと、あなたのところの社長は、アランくんだったかな?」
「はい……」
「アランくんは、琴里ちゃんの父親だよ。」

なんて会話があったことなんて知らなかった。琴里の部屋で、2人で話をしていた。

こんなの嘘みたい。どうして俺達こんなに遠回りしてきたんだろう。近づいたと思ったら、離れて遠くに……ずいぶんもったいない時間だった。でも、決してムダな時間じゃなかった。たくさん遠回りしたぶん……

「俺といんのそんなにイヤだったのかと思うだろ?よかった琴里に嫌われてなくて……あーもーこんなに俺を振り回すなんて、琴里は悪い子だな。参るよな……」
「だって……」
「言い訳なんて、聞かない。あれから、泣いたの?」
「う……」
「泣くほど、別れたくなかった?」
「辛くて、辛くて……涙が止まらなかった……の……」
可愛すぎるよ。琴里は……ぎゅっと抱きしめる。
「また琴里がどこかへ消えてしまいそうで不安なんだ。また琴里がいなくなってしまったら……」
「私、不安だったの。健人くんの時みたいにふられてしまいそうで……」
「そんなことか……だったら、そう言えばいいだろ?いきなり別れを告げられた俺の気持ちが分かるか?」
だけど、琴里か嫉妬してるなんて……俺の方が不安だったんだ。愛されてるかって……
「ずっと一緒にいてくれるか?初めて会った時から、琴里がかわいくてたまんない。琴里のことすごく好き。もう二度と俺のそばから離れないって、約束してくれ。」
「どうかこれからも……一緒に……」

そこへ、婚姻届を持って親父がきた。みんなで話し合った結果。またこんなことがあると困るから、籍を入れて、俺の部屋で、2人で暮らせ……?急展開すぎんだろ……

「琴里ちやんを幸せにしてあげなさいよ」
「うん……約束する」
そんな中、琴里が泣いていた。

その後、風の噂に……
結局、あの人の父親の会社はうまくいかなくなって、あの人は大学をやめたって……

あれから……琴里と暮らし始めた。琴里の父親と話すためにフランス語を勉強していると……

コンコンと、ドアが叩かれた。
「もうすぐ夕飯できるけど……」
「もうそんな時間か……」
でも、ひとつだけ気になって……
「後悔してないか?」
「毎日一緒にいられて幸せ。」

あの時の出来事は、思い出したくもない。だけど、あの出来事がなければ、今2人でこうして暮らせてない。今が幸せだから、そう思えるのかな……