「ん、じゃね」 駅について、改札の前でいつものように加瀬くんとばいばい。 相変わらずのやわらかな、掴みどころのない雰囲気。 夕方の少し涼しい風をまとって、ふらりと消えていく加瀬くんの背中を、いつものように見送って。 ちくり、小さく傷んだ胸なんて、…わからない。