…ほら、今も。 日が暮れて、夕方。 夕焼け色に染められて、私の前に立つ、加瀬くんだけがどこか切り取られたように、涼しげで、透明。 「…立原さん?」 「っ、あーうん、帰るよ?」 黒い瞳に混じった怪訝そうな色に、慌てて答える。 「そっか」 そんじゃあ、そう言って楽しそうに笑う加瀬くん。 「え?」 「一緒に、帰ろうよ」