けれど、どうしてもそうは言えなかった。
したくなかったが本音か。
あのカフェは先輩と過ごす場所。
例え彩花や葵世だとしても他の人と過ごすことなんて頭に浮かばない。
心の奥の何処かに引っ掛かってしまって。
何も言葉が出ないのだ。
ちょっぴりの罪悪感を覚えつつ曖昧に笑った。
「あ、着いたね。誠くん、また今度ね!」
「あぁはい。冬音さんまた今度。」
少し袖長というより私の腕が短いせいで指だけが見える手を大きめに振って川下の方へうちの弓道部の所へ向かう。
誠くんも軽く振って川上の方へ行く。
そして彼の友人たちに彼が絡まれているのを見てクスっ、と笑いながら
何故か難しげな顔をした励と目を輝かす彩花、完全に面白がっている猫の目の葵世がいる場所へ歩いた。