「ほら、初対面の時に冬音さんが出てきたカフェ。ここからも近いところ。
いつ行ってるか分かったらカフェで会えるかなーって。」
少し斜め上を向き頭を掻きながら言う。
身長差もあり、上を見られては表情は伺えない。
「………あのカフェに私が行く時はさー、人と約束してて。」
言外に良く取れば人と約束しないと行かない、悪く取ればそこで会う気はないと伝える。
少し不思議な約束をしたばかりだ。
雨の日しか私は行かない。
何故か行く気にならないのだ。
先輩と待ち合わせの時だけだ。
「そっか………。」
「ごめんね。」
あからさまにガッカリした誠くんを見て少し申し訳なくなった。
だって、晴れの日にだってカフェには寄れる。
なんたって通学路にあるのだから。