「………ちっ。」
「え?あー、冬音。あれは………。」
「大丈夫。自己修正して既に視界からフェイドアウトだよ。」
舌打ちをした理由に気づいた彩花がフォローを入れようとする。
それに対して私はしれっと満面の笑みで毒を吐きながら返す。
そう、私たちの目線の先にいるのは励と拓斗。
そして、先輩の山野さんと伊緒さん。
ヤマナシ
それから月見里さん。
イツキ
月見里 樹、彼は元幹部。
そして、私が最も嫌いな先輩だ。
私から広まり、影ながら囁かれている彼の呼称は『残念なイケメン』。
そう、顔とルックス。
つまり、見た目は良いのだ。
花野橋の中でハイレベルの集まった弓道部で1、2を争う程度には。
申し分のないイケメンぶりである。
まぁ、それが好みかどうかは別として。
見た目が整い過ぎてモテないの代名詞であり、中身がそのイケメンであまりあるくらいの最悪さ。


