「ちょっと、冬音!!」


今度は彩花が顔を真っ赤にして慌てる。


「あーそっかぁ。彩ちゃんも好きな人いたねー?」


そして、千鶴さんが何か企んだ顔を作り言った。


「もう、冬音の意地悪!」


「ほら、あそこにたくぽんいるよ?」


「えっ。」


彼女が心に秘めるのは拓斗だ。

しかし、彼は恋愛に興味を持たないタイプ。

つまりは朴念仁なのだ。

今は誰とも付き合うつもりはないと公言している。

つまり、告白する前からフラれたも同然の恋を彩花はしている。

想うことはその人の勝手。

誰にも指図も邪魔も出来ない。