「野菜、切ってくれない?」


「りょーかいです。」


用意された包丁を手に取り、次々と近くにあった野菜から片っ端に切っていく。


「そういえば、ちづさん。」


彩花が手を動かしながらも話し出す。

横目に見るとその目は確かに何かを企んでいるような面白がっているような嬉々とした色を宿していた。
チヅル
千鶴さんへ対して彩花がこの顔をする時は決まってある1つの話題である。

私は黙って聞き手にまわる。

今までの経験上そうするに越したことはない。

変に口出しすると飛び火しかねないのだ。